患者は25歳、女性。15歳の頃から尋常性坐瘡(にきび)が出始め、16歳位から背中にも皮疹が出始めた。近くの皮膚科にかかって塗り薬や飲み薬をもらっていたがあまり良くならず、治療を止めてしまっていた。その後、ビタミンCや健康食品(活性酸素除去食品)を約3年間服用していた。1997年1月に再び某病院の皮膚科に受診し、内服薬と塗り薬を処方されたが、3〜4ヶ月たっても良くならないのでやめてしまった。最近胸にも皮疹が出てきて痒いため、近所の人に教えられて、1997年10月23日、当院に来院した。
体格栄養とも中等度(154.3cm、45.0kg)。便通は2日に1行、顔が少しほてり、手足が冷えやすい。生理は順調で生理痛はない。脈はやや浮・小・弱で、血圧110/55mmHg、舌は湿潤して白苔がうすくある。腹侯は腹力中等度、両腹直筋の攣急が軽度にあり、臍傍の圧痛点はなく、その他特別の所見はない。皮疹は顔面、背部、胸部にあり粟粒大から小豆大の赤色丘疹でった。
全体像から判断して陽証であり、やや実証で便秘傾向があり、「顔のほてり」「手足の冷え」などの症候を手がかりに桂枝茯苓丸料加大黄、ヨクイニンを処方した。
漢方薬服用後2週間後にはやや悪化したため、さらに黄連1g、山梔子1g、黄柏1g、黄ごん2gを追加した(外台、黄連解毒湯)。その後はにきびは順調に改善していった。2年5ヶ月後に久しぶりに来院された時は、顔に1個の丘疹をみる以外完治に近い状態であり、5週間分の薬を持って廃薬となった。
2001年3月30日(初診より約3年5ヶ月後)電話でその後の状態を問い合わせてみると、すでに結婚し、にきびも出ていないとのことであった。